So-net無料ブログ作成
日本が世界に誇る傑作時代劇 ブログトップ

椿三十郎 [日本が世界に誇る傑作時代劇]

☆椿三十郎
(1962年製作、黒澤明監督、脚本:菊島隆三、小国英雄、黒澤明、音楽:佐藤勝、撮影:小泉福造、斎藤孝雄、
三船敏郎、仲代達矢、小林桂樹、加山雄三、団令子、志村喬、伊藤雄之助、入江たか子、藤原釜足、清水将夫、久保明、田中邦衛、江原達治、平田昭彦、土屋嘉)
   
「用心棒」のヒットで、東宝首脳部は黒澤監督に、続編の制作を打診、困った黒澤監督は、チーフ助監督の堀川弘通のために脚本化していた山本周五郎の”日々平安“をベースにして、主人公のキャラクター設定を大幅に変更し、剣豪の三十郎主演に書き代えて映画化した作品。
主演の三船敏郎は、メキシコで主演していた「価値ある男」撮影終了後、すぐにスタジオ入りしたとのこと。

作品は、藩政を担う次席家老達の横領を暴こうとする若い藩士達に協力する三十郎の活躍を描く内容で、「用心棒」とは違い、全編張りつめた緊張感というよりは、ほのぼのとした会話のやりとりの中、さまざまなキャラクターの登場人物が描かれるユーモア満載の作品となっている。

城代の奥様(入江たか子)や娘(団令子)、見張り役だったが三十郎たちに捕まる侍(小林桂樹)最後に登場する城代(伊藤雄之助)、次席家老の志村喬、用人藤原釜足、大目付菊井役清水将夫、作戦担当で菊井の懐刀室戸半兵衛(仲代達矢)など、早々たる顔ぶれである。

入江たか子は、子爵で貴族院議員の子女で育ちも良く、一斉を風靡した女優だったが、芸能界を引退してBarのマダムをしていたのを、黒澤監督は東宝の重役を連れて訪れ、出演を打診したらしい。
人柄の良さとさまざまな人生経験を経てきたその経験を活かせる女優を熱望したということで、映画でもおっとりとした立居振舞、ゆっくりしたセリフ回しが、ほんわかした雰囲気を醸し出し、三十郎に向かって、“あなたは抜き身の刀で、いつもギラギラしている、良い刀は鞘に収まっているもの”とドキッとするような言葉を投げかける鋭さも持つ、難しい役柄を見事に演じている。

若手の侍達は、加山雄三、田中邦衛、平田昭彦、土屋嘉男(用心棒にも出演)江原達治、久保明などの東宝若手俳優陣で、当時加山雄三は、若大将シリーズがヒットし、売れっ子で掛け持ち出演だったとのこと。

黒澤映画の常連、志村喬、藤原釜足も悪役で老け役を演じていて楽しそうだし、仲代達矢は、終始三十郎に先を越され、煮え湯を飲まされる役ながら、強面の顔を黒く塗り役作り、ギョロ目がちょっと怖さを出している。

最後の一騎打ちの場面、やりたくないという三十郎に対し、コケにされたことに腹を立てる室戸は、是が非でもお前を斬ると挑み、映画史に残る一騎打ちシーンとなる。この時の三十郎の抜き身は、香取神道流逆手斬りである。

伊藤雄之助が、三十郎と相対する場面は出てこないが、茫洋とした雰囲気で、“能ある鷹は爪を隠す”の格言通りの人物を演じていて、出番は少ないものの存在感が見事。

この映画は、「用心棒」のヒットを上回り、1961年度国内映画配給収入1位となっている。その後、素浪人を主役とした娯楽時代劇を製作することはなかったのが、不思議なくらいだが、「赤ひげ」「影武者」「乱」と時代劇は制作したが、娯楽活劇ではなかった。東宝首脳陣からは、続編をと絶対要望があったと思うのだが、黒澤監督は、どうやって断ったのだろうか。

この作品の面白さは、何十年経ても、何度観ても色あせることはないが、脚本の面白さ、登場人物の愛すべきキャラクター達、最後の一騎打ちの凄まじさと映画の面白さが、ギュッと詰まった良質の娯楽作品である。
何といっても、主役の三十郎(三船敏郎)の個性が際だっていて、三十郎は三船自身なのではと思うほど。

“毎日が映画日和”100点(勿論満点!!但し映画力は用心棒が勝っている。)

*三船敏郎の海外資本への出演作品を前回紹介したが、今回は三船敏郎本人及び出演作品の海外でのさまざまな受賞・表彰歴を紹介したい。(*テレビ)
・「羅生門」ベネツィア国際映画祭金獅子賞受賞・英国アカデミー賞名誉賞(外国語映画賞)受賞・美術賞ノミネート
・「西鶴一代女」ベネツィア国際映画祭国際受賞
・「七人の侍」ベネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞、英国アカデミー賞主演男優賞ノミネート、アメリカアカデミー賞美術賞及び衣裳デザイン賞ノミネート
・「宮本武蔵」アメリカアカデミー賞名誉賞(外国語映画賞)受賞
・「生きものの記録」カンヌ映画祭パルムドールノミネート
・「蜘蛛の巣城」ベネツィア国際映画祭金獅子賞ノミネート
・「隠し砦の三悪人」ベルリン国際映画祭監督賞受賞・国際批評家連盟賞受賞
・「無法松の一生」ベネツィア国際映画祭金獅子賞受賞
・「悪い奴ほどよく眠る」ベルリン国際映画祭金熊賞ノミネート
・「用心棒」ベネツィア国際映画祭主演男優賞受賞、アメリカアカデミー賞作曲賞・衣装デザイン賞ノミネー」
・「価値ある男」アメリカアカデミー賞外国語映画賞ノミネート
・「天国と地獄」ベネツィア国際映画祭金獅子賞ノミネート
・「赤ひげ」ベネツィア国際映画祭主演男優賞受賞、サン・ジョルジオ賞受賞
      イタリア産業省受賞、国際カトリック事務局賞受賞
・「グランプリ」アメリカアカデミー賞編集賞・音響賞・音響効果編集賞受賞
・「千利休:本覚坊遺文」ベネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞
・「ピクチャー・ブライド」カンヌ映画祭パルムドールノミネート
*「将軍」エミー賞作品賞、タイトル賞、衣装賞受賞、主年男優賞ノミネート

その他、フランス芸術文化勲章受章、モントリオール世界映画祭特別グランプ
リ受賞、ロサンゼルス名誉市民、UCLAからは学位も授与されている。
生前、本人は、UCLAからの学位をとっても喜び、自慢していたという。

どうだ、「三船を観たか」、こんな俳優日本にいるだろうか。三船敏郎を評価し
よう、映画を見よう!!



用心棒 [日本が世界に誇る傑作時代劇]

☆用心棒
(1961年制作、黒澤明監督、脚本:菊島隆三、黒澤明、撮影:宮川一夫、音楽:佐藤勝
三船敏郎、仲代達矢、司葉子、山田五十鈴、東野英治郎、加東大介、志村喬、藤原釜足、山茶花究、河津清三郎、沢村いき雄、渡辺篤、藤田進、夏木陽介、土屋嘉男、西村晃、中谷一郎、ジェリー藤尾、羅生門綱五郎)
   
日本が世界に誇る時代劇の傑作である。

娯楽作品として、映画の比類なき面白さは突出していて、登場する人物のイメージが一瞬で掴みとれるようなキャラクター設定も見事で、村木与四郎のセット美術も見事、映画用に組み立てられた上州の宿場町の風情やスケールの大きさも見事である。

主人公桑畑三十郎(三船敏郎)の個性が際立つ演技が素晴らしい。
照れ屋でお人よしで、困っている人を見捨てられないという心根のやさしい凄腕の素浪人を演じ、世界三大映画祭の一つ、1934年から80年以上続くベネツィア国際映画祭主演男優賞を受賞している。(日本人俳優受賞は、三船敏郎ただ一人で1965年「赤ひげ」でも二度目の受賞を果たしている。凄いことである。三船以外で2度受賞者は、ハビエル・バルデム(2000年、2004年)だけである。)

どことなくユーモア漂う凄腕の素浪人という、そのキャラクターは、三船敏郎の努力により生み出されたもので、殺陣の勉強のため香取神道流に学び逆手不意切を習得、あまりにも早い動きにフィルムではとらえきれずブレていたと、監督黒澤明は驚愕している。

劇中時折見せる、肩を揺する独特の仕草は、三船が自ら考案し、三十郎のトレードマークとして定着した。(続編「椿三十郎:1962年」では、ユーモア度が、より増している)

この映画が世界の映画界に与えた衝撃の大きさは、後に「荒野の用心棒:A Fistful of Dollars」(1964年)、「ラストマン・スタンディング:Last Man Standing」(1996年)などのリメイク作品やケヴィン・コスナー主演映画「ボディ・ガード:The Bodyguard」(1992年)の劇中、作品の一部が上映されているなど、多くの映画に影響を与えたことでも知られ、この作品に限らず黒澤作品は、多くの映画関係者に影響を与えた。
(「荒野の用心棒」は、盗作訴訟になり結局セルジオ・レオーネ側は、10万ドルを支払い、世界映画興行収益の15%を支払うことで決着したとのこと。)

出演する俳優達が抜群の個性を発揮、引き出す監督の手腕も見事で、しっかりとイメージされた画像に添って撮影されていたのだろう。(黒沢監督の絵コンテは有名)
山田五十鈴、加東大介、東野英治の演技は賞賛に値するし、藤田進の本間先生もほんの少しの出番だが、ホット一息つかせる演出で笑わせる、他の出演者達も素晴らしい個性を発揮する。

「七人の侍」「隠し砦の三悪人」「羅生門」「悪い奴ほどよく眠る」「天国と地獄」「生きる」「赤ひげ」「影武者」「蜘蛛の巣城」「乱」等生涯の監督作品は、30本で、師とも仰いだ山本嘉次郎監督から、脚本が書ける、編集ができるこの2つは監督の絶対条件と教えられたことを助監督時代の想い出として後に語っている。

仲代達矢は、拳銃で立ち向かうヤクザの次男坊を演じ、いわば桑畑三十郎のライバルを演じるのだが、この頃〔俳優座所属〕から結構“臭い芝居”を既に感じさせる演技で、黒澤監督に好まれた俳優である。三船敏郎のような強烈な存在感と言うよりは、表情やセリフ回しで印象を残す俳優で、今や日本を代表する俳優の一人として、82歳の今も健在である。

この映画の魅力は、敵対する組織が一人の素浪人によって、壊滅してゆくその単純過ぎるほどのストーリーの面白さと、素浪人の豊かな人間性である。
日本映画における、娯楽時代劇作品としてのレベルの高さは、この映画を超える作品は未だ無いのではないかと言える様な出来映えで傑出している。

映画ファンとしては、黒澤明監督と三船敏郎は、1950年代~70年代日本文化を最も世界に発信してくれた文化功労者であるにも拘らず、黒澤明監督に国民栄誉賞が授与されたのは死後で、三船敏郎は未だ与えられていない、今更いらなよと墓の下で呟いているだろうが、結局は時の政府の人気取り的意味合いが強いためだろう。(晩年のイメージが悪いことが理由とのことだが、彼の映画出演による功績と全く関係がないこと:離婚問題やプロダクションのごたごた)純粋に功労に値すると判断したら、この2人に生前授与されなかったのは、政治的な思惑に左右される日本政府の大きな判断ミスだろう。三船敏郎出演映画の海外受賞歴や海外映画やテレビの出演本数は、当時傑出していた。

多くの日本人に“君は三船を観たか”と言いたいぐらい“素敵”な俳優で、世界の多くの国々の評価の方が、日本より高いという不思議な現象だが、この俳優の業績をもっともっと讃えたい。
“毎日が映画日和” 100点(文句なしの満点!!)

◎三船敏郎が出演した海外資本の映画
「レッド・サン:Red Sun」「価値ある男:Animas Trujano」「太平洋の地獄:Hell in the Pacific」「グランプリ:Grand Prix」「太陽に架ける橋:Paper Tiger」「ミッドウェー:Midway」「大統領の堕ちた日:Winter Kills」「1941:1941」「インチョン:Inchon」「将軍:Shogun」「武士道ブレード:The Bushido Blade」「最後のサムライ:The Challenge」「シャドウ・オブ・ウルフ:Shadow of the Wolf」「兜:Kabuto」「ピクチャー・ブライド:Picture Bride」
*他にも、「スター・ウォーズ」オビ・ワン・ケノービ役、ダースベイダーの役や「ベストキッド」のミヤギ役、スケジュールの都合がつかず断わっている。
毎年、段ボール一箱分ぐらいの映画への出演依頼が、海外から来ていたという。


日本が世界に誇る傑作時代劇 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。