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悪い奴ほどよく眠る「黒澤明+三船敏郎」 [黒澤ワールドを堪能しよう!]

☆悪い奴ほどよく眠る
(1960年制作 黒澤明監督、脚本:小国英雄、久坂栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍、撮影:逢沢譲、音楽:佐藤勝
三船敏郎、森雅之、香川京子、志村喬、三橋達也、加藤武、藤原釜足、西村晃
笠智衆、宮口精二、藤田進、三井弘次、菅井きん、中村伸郎、南原宏治、山茶花究、田中邦衛)
   
父親を自殺に追い込んだ社会悪を暴き出し、復讐しようと立ち上がる男の物語。

黒澤監督作品らしい脚本作りで、エピソードの積み重ねに工夫が観られ、盛り上げ方が上手い。今回は脚本を5人がかりで手掛けているが、黒澤作品ではやはり、脚本が要となる。
妻となる佳子(香川京子)への思いなどちょっと描き切れていない部分もあるが、建設会社と公団との癒着をベースに、上司への服従と出世欲、金銭欲に取りつかれた会社員の悲哀も描く。

藤原釜足、西村晃、志村喬、加藤武、三橋達也等出番の多い脇役たちの熱演もあり、重厚で見応えある140分となっている。
この手の映画は、結局、巨悪は裁かれないままというパターンが多いのだが、この映画はまさにその走りとなった映画だろう。55年前という制作時の背景を考えると、致し方ない部分もあるのだろうが、現代では社会的制裁を首謀者に加えないと、観客は納得しないだろう。

森雅之が、公団副総裁役で、最初誰が演じているのかよく解らなかったほどで、役作りが、素晴らしい。娘まで裏切り、狡猾な抜け目のない役柄を演じ秀逸である。90億の工事を、120億で落札させ30億をピンハネしようとするからくりや、リベートは工事請負金の10%が相場であるというあたり、時代を感じさせる。
結局は、復讐に立ち上がった主人公西(三船敏郎)は、居場所を突き止めた副総裁の指示を受けた勢力に殺されてしまい、闇に葬られてしまうという結末。

検察側の人物を演じる、笠智衆、宮口精二等の出番をもう少し増やし、サスペンスを盛り上げてほしかった。
田中邦衛が、思わぬ場面にチョイ役で出演、俳優座養成所へ入って5年目の出演であった。香川京子は、黒澤作品で活躍した女優であるが、三船敏郎との共演も多かった。身体の不自由な役柄で三船敏郎演ずる西と結婚するものの、父親との板挟みで揺れる娘役を真摯に演じている。

黒澤作品が、最も光り輝いたのは、やはり三船敏郎(もう一人は、志村喬)の主演があったからである。黒澤作品を観ていくと、そのことが良くわかる。後年、プロダクションの経営のため、思うように映画に出演できなくなり、黒澤作品から遠ざかったが、やはり三船敏郎のいない黒澤映画は、魅力に欠けていた。
この映画でも、存在感が有り過ぎるとも思えるほどの熱気で、この人の演技からは、強い信念のような思いが感じられる。日本が生んだ偉大な俳優である。

“毎日が映画日和” 85点

 

蜘蛛巣城(黒澤明+三船敏郎) [黒澤ワールドを堪能しよう!]

☆蜘蛛巣城
(1957年製作 黒澤明監督、脚本:菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明
撮影:中井朝一、音楽:佐藤勝
三船敏郎、千秋実、志村喬、山田五十鈴、久保明、佐々木孝丸、浪花千栄子、木村功、中村伸郎、宮口精二)
     
シェークスピア原作「マクベス」を、橋本忍、菊島隆三、小国英雄、黒澤明が、脚色し、日本独特の芸能文化”能“の要素をふんだんに取り入れ、独特の様式美をみせる。

主君を殺して代わりに城主となるという題材は、あまり好まれないと思うが、敢えて映画化したのは、黒澤監督の自信のあらわれだろうか。
物の怪のシーンは、いわば鷲津武時(三船敏郎)の心の声と解釈するべきだろうか。武時をたき付ける妻役浅茅(山田五十鈴)の策略にも乗せられ、主君を裏切り、友人を裏切り、部下の信頼も失っていく武時は、いわば、人間の持つ欲望の象徴として描かれている。

ダイナミックな馬での追跡シーンは、黒沢映画ならではで、およそ60年前の映画にも拘らず迫力満点、なかなか他の映画では見ることはできない。
三船敏郎の狂気迫る姿、山田五十鈴の不気味な表情が何とも、おどろおどろしい雰囲気を出している。
戦友とでもいうべき三木義明(千秋実)の息子との養子縁組の場面、三木親子を殺害しようとするが、息子に逃げられ、人生の歯車が狂ってくる。

結局は、殺した主君国春(佐々木孝丸)の息子国丸と腹心小田切則保(志村喬)、三木の息子義照等に蜘蛛巣城を攻められ、動かないと思った蜘蛛の手の森が、動き始めたことで(実際は、則保が、枝葉を兵に持たせ城から見えない様に偽装したもの)物の怪の予言が現実の事となることが、味方の兵を裏切らせることとなる。

最後の弓矢で殺されるシーンは、あまりにも有名だが、実写だとのこと。勿論ワイヤーで、弓矢はコントロールされるのだが、三船はこのシーンでの恐怖から、黒澤監督を恨むようになって、酒を飲むと殺してやると息巻いたとのことである。
黒澤監督は、三船敏郎、志村喬の2人と組んだ時が最高に輝いていたのではないだろうか。晩年の映画は、難しくなってしまった。

「影武者」「乱」など国際的な評価も高く数々の映画祭で沢山の賞を貰っているが、どちらかというと、それまでの功績に対しての評価という見方の方が、合っているのではないだろうか。
映画としては「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」「赤ひげ」等の方がよほどわかり易く面白い。
映画は大衆芸術、多くの観客が喜んでくれるということから言えば、1975年の「赤ひげ」までが、黒澤明らしかったのではないだろうか。

“毎日が映画日和” 90点

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