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映画を芸術に高めた溝口健二の名作 ブログトップ

祇園囃子(溝口健二監督) [映画を芸術に高めた溝口健二の名作]

☆祇園囃子
(1953年製作 溝口健二監督、脚本:依田義賢、撮影:宮川一夫、音楽:斎藤一郎、原作:川口松太郎
木暮実千代、若尾文子、浪花千栄子、河津清三郎、進藤英太郎、菅井一郎、田中春男)
       
京都祇園で生き抜く2名の芸妓の世界をシリアスに、厳しい視線で見つめた作品で、見習の様子や祇園でのしきたりや作法なども興味深く描かれる。

芸者美代春(木暮実千代)の元へ昔なじみ客だった商人沢本の娘栄子(若尾文子)が、舞妓になりたいと訪れるところから映画は始まる。
芸妓の住まい(屋形)は、お茶屋からお座敷が掛からなければ商売にならないし、お茶屋は沢山の御贔屓さんを抱えないと繁盛しないということが、わかり易く描かれる。

美代春を口説こうとするのは、役人の課長でその中を取り持とうとするのは、お茶屋の女将と役人から仕事を貰おうと画策する、取引先の専務と部下である。理由は聞くまでもなく、仕事を有利に運ぶための贈収賄である。時代は移り変わっても、人間の考えることはいつの時代でも、どこの国でも変わらないということだろう。

溝口監督の画面の構図が見やすく京都情緒もたっぷりに描かれていて、宮川一夫のカメラワークも戦後、復興に向け動き出した京都祇園を、流麗に映し出してゆく。
日本文化を伝える役割を担うのが、芸妓の務めと稽古場のお師匠が、語るように、日本の芸者は日本文化の伝道師でもある。礼儀・作法・芸事・日常の生活に必要な掃除・料理・お裁縫も修業する姿は、人間としての資質も磨こうとしている覚悟の様なものも感じる。

昔気質の美代春(木暮実千代)と17~18歳の美代栄(若尾文子)の考え方の違いが事件を引き起こし、お茶屋に仕事を干されたことで、美代春が覚悟を決め、屋形を守るため身体を差し出すことで、全てはまた元に戻って行くという芸者の世界の厳しさも描いている。

お茶屋の女将を演ずる浪花千栄子の芸達者振りが秀逸で、眼の使い方や声の抑揚で言葉の意味を表現する演技は素晴らしい。
進藤英太郎が、体調のすぐれない、栄子の父親で落ちぶれた商人役を演じている。時代劇での悪人役を見慣れているせいか以外な配役だが、雰囲気作りが上手い。溝口作品の常連で、さまざまな役を演じている名優でもある。

木暮実千代(出演時35歳)が妖艶な色気が滲み出る芸妓役で、日本人らしからぬ風貌が異彩を放つ、若尾文子(出演時20歳)が舞子を可愛く演じている。
美術や衣装、雰囲気作りが素晴らしい、映画のスタッフの心意気が伝わる隠れた名作である。

“毎日が映画日和” 85点

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