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どら平太(市川昆監督) [時代劇の佳作]

☆どら平太
(2000年制作、市川昆監督、脚本:四騎の会(黒沢明、木下恵介、市川昆、小林正明)、音楽:谷川賢作、撮影:五十嵐幸勇、
原作:山本周五郎「町奉行日記」
役所広司、浅野ゆう子、片岡鶴太郎、宇崎竜童、菅原文太、石倉三郎、石橋蓮司、岸田今日子、大滝秀治、神山繁、加藤武、三谷昇、尾藤イサオ、うじきつよし、本田博太郎、赤塚真人、伊佐山ひろ子、江戸家猫八、津嘉山正種)
   
ある小藩の町奉行に就任した望月小平太(役所広司)の藩政改革を描いた作品で、ダイナミックなチャンバラ映画ではなく、作品の構成力と演出力で楽しむ痛快時代劇となっている。

脚本は、「四騎の会」(黒澤明・木下恵介・小林正樹・市川昆)で、山本周五郎の「町奉行日記」を原作としている。
「四騎の会」を構成するメンバーも山本周五郎作品を映画化しており、黒澤明は、「椿三十郎:日日平安」「赤ひげ:赤ひげ診療譚」、小林正樹監督は、「いのちぼうにふろう:深川安楽亭」等がある。山本周五郎の小説は、その他、多数の作品が映画化、テレビドラマ化さている。

町奉行就任以来、一度も奉行所に出仕せず、難題を解決するという、その豪放磊落な度胸の良さと気転の見事さ、腕っぷしの強さが魅力の小説が原作で、望月小平太を演ずる俳優の魅力で、ある意味この作品は決まると言っても過言ではないように思う。そういう意味では、役所広司は何とか合格というところだろうか。

役柄から言っても、もう少し、男臭さが全面に出る俳優の方が、似あっていたように思うのだが、逆にそうは見えない役所広司を、敢えてキャスティングしたのかも知れない。
城内の管轄に在らずという堀外での、ヤクザの一味と藩政を預かる重役たちの癒着の慣習が物語の土台となっており、菅原文太を大親分とするヤクザ一味を脅しながら懐柔するあたりのストーリー展開も面白いし、城代家老(大滝秀治)や家老(加藤武)など藩政の重役たちを引退させるシーンも爽快な痛快娯楽作品である。

重役たちののらりくらりの演技も観ていて楽しいし、演技が一本調子だが片岡鶴太郎と宇崎竜童が熱演を見せている。
こせい(浅野ゆう子)とのエピソードが、ちょっと解りづらく、必要だったのかどうか、何とも言えない。無い方がすっきりした感じがしないでもないが、、、。

市川昆監督の語り口の上手さに、助けられた感じがしないでもないが、退屈しのぎには、充分合格の楽しい作品である。

“毎日が映画日和” 75点



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壬生義士伝 [時代劇の佳作]

☆壬生義士伝(滝田洋二郎監督)
(2003年製作、滝田洋二郎監督、脚本:中島丈博、音楽:久石譲、撮影:浜田毅、原作:浅田次郎
中井貴一、佐藤浩市、三宅祐司、村田雄浩、夏川結衣、中谷美紀、塩見三省、堺雅人、野村祐人)
   
浅田次郎の小説を映画化した作品で、新撰組隊士吉村貫一郎の生き様を描いた力作である。
滝田洋二郎監督は、成人映画で1981年~1986年まで、監督としてさまざまな作品に取り組み、特に「痴漢電車」シリーズなどが、知られている。1986年「コミック雑誌なんかいらない」で注目を浴び、キャリアを積み重ね、「おくりびと」で、アカデミー外国語映画賞を受賞するが、この作品は、その5年前の作品である。

盛岡藩を脱藩し、新撰組の隊士となり、守銭奴と呼ばれるものの侍としての義を重んじるその生き方に、涙失くしては見られない作品となっている。
大正時代になり、元新撰組隊士斎藤一(佐藤浩市)が、孫を連れ訪れた町医者で、ふと目にした写真には、共に新撰組で戦った吉村貫一郎の姿があった。
医者は、元盛岡藩大野次郎右衛門(三宅祐司)の息子大野千秋で、吉村の息子嘉一郎とは、親友であった。
斎藤は、吉村がなぜ脱藩し、守銭奴と呼ばれながらも義を貫き薩長軍と戦い、切腹して果てたかを知ることとなる。

薄給で食べる米にも困るという生活に、何とかしなくてはと吉村は、盛岡藩を脱藩し、京へ上り新撰組の隊士となる。
剣の達人として認められ、剣術指南役に任命され、給与を貰う身分となり、盛岡の家族の元へ仕送りをする生活で、守銭奴と呼ばれようと何だろうと家族のため一筋に生き抜くその姿に、感動を覚えずには入られない。

中井貴一が、主人公を演じ、南部弁を話すという難しい役どころを熱演している。どこか自分の人生を斜に構えて生きている斎藤一には、佐藤浩市が扮している。
子供の頃からの親友で、盛岡藩大阪蔵屋敷佐配役大野に、三宅祐司が扮し、最初は似合わないと思いながらも、傷つき大阪の盛岡藩を訪ねて来たときには、冷たく対応するものの、握り飯を握ってやったり、切腹の場所を与えてやったりと何かと世話を焼く姿に、人の好さが滲み出ていて適役だったと思う。

吉村の妻、しづを演じる夏川結衣が清楚な美しさを見せれば、斎藤の愛人ぬいを演じた中谷美紀は、女らしい艶やかな美しさを見せる。
新撰組の仲間割れ等描かれるものの、国のためと思っていたのが、いつの間にか賊軍と呼ばれる“勝てば官軍、負ければ賊軍”会津藩と新撰組の悲哀も描いている。

大野の息子と使用人佐助が、吉村の家族と会う場面は、涙を誘い、家族の為を思い死んでいった吉村貫一郎への、深い愛情と感謝の思いが溢れる名場面となっている。大阪の盛岡藩蔵屋敷での吉村の家族への思いを語る場面は、ちょっと長すぎたのと、よく聞き取れないセリフが多かった、ここは俳優としては見せ場なのだが、もう少し短くすっきりとした演出で良かったように思うが、、、。

原作はかなり脚色されてはいるものの、時代考証や大道具、小道具などの美術もしっかりしており、重厚感のある見応え十分の作品であった。

“毎日が映画日和” 80点



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蜩ノ記 [時代劇の佳作]

☆蜩ノ記
(2014年製作、小泉堯史監督、脚本:小泉堯史、古田求、音楽:加古隆
撮影:上田正治、北沢弘之、原作:葉室麟「蜩ノ記」
役所広司、岡田准一、堀北真希、青木崇高、吉田晴登、中野澪、川上麻衣子、石丸謙二郎、寺島しのぶ、三船史郎、井川比佐志、串田和美、原田美枝子)
   
葉室麟原作ベストセラー「蜩ノ記」の映画化。
原作に描かれているような緊張感は、もう一つ描き切れなかったように感じたが、
戸田秋谷(役所広治)の生き方の清々しさが、印象深い作品となっている。

藩からの見張り役檀野庄三郎(岡田准一)が、秋谷に心酔してゆく様子がもう一つ描き切れていおらず、掘り下げ方が甘いと感じたが、小泉監督の静かな語り口が共感を呼ぶ映画となっている。

郡奉行戸田秋谷は、藩主の側室との不義密通を疑われたことにより、10年後の切腹を命じられる。その命から7年後が舞台となっているが、三浦家の家譜の編纂を命じられ、一日一日を大切に家族と共に(妻と長女、長男)誠実に生きている。その戸田家の生き様に、徐々に心を開いて行く檀野庄三郎は、娘薫(堀北真希)に魅かれ恋が芽生えてゆく。

家老中根兵右衛門へ面会を求め、農民の怒りを直に伝える場面が、この映画のクライマックスで、戸田秋谷の生き様が、最も良く解る場面となっている。
息子が、庄三郎と共に家老宅へ乗り込む場面とか、あり得ないのではと思える場面もあるのだが、
もう少し悪役が目立つような脚本の方が、映画としては盛り上がったように思うが、小泉監督は、敢えて大仰にはせず静かな語り口で、映画を締めくくる。

不義密通の相手とされたお由の方には、寺島しのぶ、殿様三浦兼通に、三船史郎、慶仙和尚に井川比佐志、妻織江に原田美枝子、その他川上麻衣子や石丸謙二郎等演技派を配したキャスティングも見応えがあったが、脚本の掘り下げがもう一歩だったような感じで、さらっと表面をなぞった様な印象となっている。

藩の隠された秘事(豪商の娘を家老へ嫁がせ実権を握る)が明るみに出る事が、この映画の主題となって、斬り合いや派手なアクションとなる事はない。
清廉な戸田秋谷の生き様を描いた作品で、チャンバラ映画を期待する向きには退屈かもしれない。

小泉監督の「雨あがる」に感銘を受けたのだが、この作品はそこまでの感動とはならなかった。
「阿弥陀堂だより」などの秀作を手懸けた監督だけに、もっと多くの作品を監督してほしい一人である。この作品は、小泉監督らしい清々しい清らかなタッチが、十分堪能出来る作品となっているものの、もう一つ力強さがほしかった。

“毎日が映画日和” 70点


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柳生武芸長 片目の十兵衛(シリーズ5作目) [時代劇の佳作]

☆柳生武芸長 片目の十兵衛(第5作目)
(1963年製作、内出好吉監督、脚本:高田宏治、撮影:脇武夫、
音楽:阿部皓也、原作:五味康祐
近衛十四朗、松方弘樹、香川良介、北竜二、佐藤慶、山形勲、吉田義夫、品川隆二、山城新吾、新井茂子)
     
1961年~1964年、近衛十四郎主演で東映が製作した、「柳生武芸帳」シリーズの5作目。(全9作)
柳生武芸帳水月の巻に書き込まれている徳川幕府への謀反の連判署名をめぐり、松平伊豆守(北竜二)と柳生但馬守(香川良介)が、柳生一族の幕府への謀反を疑われ、稲葉美濃守(佐藤慶)と土井大炊守に窮地に追い込まれるのを、柳生十兵衛(近衛十四郎)と部下が阻止するという時代劇アクション

実は、柳生武芸帳への署名は、神君家康公の命で、柳生石舟斎が謀反を企む武将たちをあぶり出す為、わざと一味に加わる作戦だったのだが、証明する武将は、只一人、今は宇都宮へ転居している里見忠義であったという設定。

十兵衛は、宇都宮へ駆けつけるが、一足遅く何者かによって殺されていた。
江戸へ戻る途中、美濃守(佐藤慶)に命じられた霧の多三郎(品川隆二)千四郎(松方弘樹:近衛十四郎の息子)兄弟、柳生への復讐を誓う山田浮月斎が十兵衛を襲う。

さまざまな剣劇アクションと忍者アクションが、次から次と展開される。
楽しさ満載で、サービス精神も旺盛である。
話は奇想天外で、最後は、伊達正宗(山形勲)まで登場、正宗の仕向ける暗殺集団との闘いや浮月斎との戦い、そして霧の多三郎との決着など、盛りだくさんの内容を85分に納めている。

スピーディーな展開と、解りやすい内容、奇想天外だが面白いストーリーと、大衆娯楽を担った東映時代劇の傑作シリーズの1本である。
近衛十四郎の殺陣の演技は、若山富三郎、三船敏郎、勝新太郎と共に、時代劇俳優屈指の殺陣さばきを見せ、見応え十分である。

“毎日が映画日和”70点


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小川の辺 [時代劇の佳作]

☆小川の辺(2011年公開 篠原哲雄監督、長谷川康夫、飯田健三郎脚本、音楽:武部聡志、撮影:柴主高秀  東山紀之、菊池凜子、片岡愛之助、尾野真千子、藤竜也、松原千恵子、笹野高史、西岡徳馬、勝地涼)
     
藤岡周平原作「短編集 闇の穴」を映画化。藩政を批判し脱藩した妹の亭主を藩命により討つ藩士の物語。
状況によっては妹も斬らねばならないという状況の中で、苦悩しながら使命を全うしようとする役を、東山紀之が演じている。東山紀之は、藤沢周平原作「山桜」でも主演しており、サムライ役が良く似合う。凛々しく高潔に見える役には、はまり役の良い俳優になった。

人物の陰影がもう少し出るようになれば、活躍の場が更に広がるだろう。
菊池凜子は、ハリウッドを拠点に活躍する女優で、その活躍には拍手喝采だが、今回はもう少し、可憐さが欲しかったような気がする。女性の柔らかさが不足していたように思うのだが、、、、。 

藤沢文学では、農民への愛着が感じられ、飢饉や農政への批判が小説の背景を成すことが多い。今回も事件の背景には、農政についての失政問題が絡んでいる。

武士の時代は窮屈で、正論は必ずしも正論ではなく、物申せばその反動が必ず来るという時代、現代とあまり変わらないかもしれないが、藤沢文学の底辺には、“正義”が常に根付いているように感じられる。東山主演の前作「山桜」もそうだった。きれいな風景と場面も盛り上げる美しいメロディーが、臨場感を煽るが、小説の掘り下げ方にもう少し、深みがあればより魅力的に人物像が描かれたように思う。 

篠原監督は、前作「山桜」同様、美しい風景と音楽で楽しませてくれるが、演ずる俳優たちに、人生の機微がもう少し表現できていれば、映画に深みが出たのではないだろうか。
正直に言うと全体的に”薄っぺらい“印象で、筋立てを負っているだけの感じがする。
セット美術に、重厚感が欠けているせいもあるのではないか。
次回も、是非、篠原監督、東山主演で藤沢文学に挑んでほしい。

”毎日が映画日和” 60点

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山桜(藤沢周平原作) [時代劇の佳作]

☆山桜(2008年公開 篠原哲雄監督 脚本:飯田健三郎、長谷川康夫、撮影:喜久村徳章 音楽:四谷玉大・一青窈  田中麗奈 東山紀之 篠田三郎
壇ふみ、富司純子、村井国夫、高橋長英、永島瑛子)

藤沢周平原作の短編「山桜」の映画化。庄内地方の四季それぞれの風景が美しい。綺麗な撮影が、時節の移り変わりを教えてくれる。題名にもなっている「山桜」が見事で印象深い。一青窈の歌も、映画の雰囲気に合っていて雰囲気づくりに一役買っている。

無駄を極力そぎ落とし、説明が少なく(日本映画はやたらと説明が多く無駄が多い)わかり易く脚本が練られている。好きな映画で何度見ても良い映画である。東山紀之が、セリフの少ない役ながら、領民のため自らを犠牲に決起に及ぶ場面は、見るものを共感させずにはいられない。表現力の豊かな俳優であることがわかる。また殺陣も腰が据わっており相当訓練したことを伺わせる。

主演の田中麗奈は、時代劇の所作が慣れていないのか着物が着慣れないせいなのか動作がぎこちないが、(畑を耕す場面や嫁ぎ先から出て行く場面などでは、はらはらする)「がんばっていきまっしょ」の頃から贔屓の女優さんで、熱演ぶりに拍手。健気な女性の役を一生懸命演じており(ひいき目か)、これからも活躍が期待される。今年で、30代半ばと可愛いだけで勝負できる年齢ではなく、演技力が求められるため沢山恋をして内面を磨いて欲しい、最近あまり出演作がないのが気になる。

出演者も適材適所で、村井国夫の悪役はさすがの貫録、永島瑛子の姑役はいかにもと思わせる熱演、高橋長英の屈折した舅役、壇ふみや篠田三郎の父母役、そして息子の帰りを待つ母親役の富司純子など、それぞれにうまいなあと感じる円熟の演技である。
    
篠原哲雄監督は、その後“東山紀之”主演で、再度藤沢周平の「小川の辺」を完成させている。(後述したい。)藤沢周平原作の時代劇は、NHK初めテレビドラマ化も多い。映画化では近年、山田洋二監督の3部作(「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「武士の一分」)が何れも傑作だが、この映画も見終わった後が清々しく、主人公野江が回り道しながらも自分の生きる道をようやく見つける姿を、声高にならずあくまでも淡々と静かに描いている。
大作感がなく、美術等の細かな配慮不足は感じるものの、よく出来た映画で好きな作品である。

“毎日が映画日和” 75点!

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