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道「La Strada」 [人生ドラマの傑作]

☆道「La Strada」
(1954年製作、フェデリコ・フェリーニ監督、脚本:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネッリ、音楽:ニーノ・ロータ
撮影:オテッロ・マルテッリ
アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート、アルド・シルベーニ、マルチェラ・ロベレ)
     
1954年ヴェニス国際映画賞銀獅子賞(監督賞)受賞、1954年アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞の名作で、イタリアの生んだ偉大なる製作者ディノ・デ・ラウランティスとカルロ・ポンティが、プロデュース、後に巨匠と呼ばれたフェデリコ・フィリーニが、監督3作目として発表した珠玉の名作である。

前作「青春群像:IVTTLLON」の翌年〔1954年〕に監督した作品で、アンソニー・クインが、力自慢の大道芸人ザンパノを演じ、フェリーニの愛妻だったジュリエッタ・マシーナが、ジェルソミーナを演じている。

貧しい家庭のジェルソミーナは、半ば強引にお金で買われるようにザンパノのお手伝い兼助手の様な立場で、三輪車でイタリア中を旅しながら、身体に巻いた鋼の鎖を力で切ってしまうというザンパノの芸で生活を共にする。

我儘で自分勝手なザンパノは、優しい言葉一つを掛けるでもなく、街の女を買う時は、三輪車を放り出され、朝まで待たされるような日々。粗野で乱暴なザンパノとの生活が嫌になり、飛び出すが、祭りの日の夜に探しにきたザンパノに連れ戻される。

サーカスの一団に入ると、綱渡りの芸人(リチャード。ベイスハート)が、ザンパノと仲が悪く喧嘩ばかりでとうとうザンパノはナイフを持ちだし、警察に捕まってしまう。サーカスのメンバーから、一緒に行こうと誘われるが、ジェルソミーナは、ザンパノが、戻ってくるのを待っている。

綱渡りの芸人は、道に落ちている石ころだって何かの役に立つと、ジェルソミーナを諭し、哀感漂うテーマ曲を教えて去ってゆく。

旅の途中、ザンパノは車の故障で立ち往生していた綱渡りの芸人を殴り殺し、捨ててしまう。ジェルソミーナはショックを受け、半ば放心状態となり大道芸の手伝いも出来なくなり、持て余したザンパノは、寝ているジェルソミーナをそのまま残し、旅立ってしまう。

数年後、海辺の村で、聞きなれたメロディーに誘われ、歌っている女性に、歌について訪ねると教えてくれた女性は、数年前に亡くなってしまったと聞き、海岸で砂浜に顔を埋めて泣き崩れる。

純真無垢なジェルソミーナ、粗野で悪知恵の働くザンパノ、天使の化身のような綱渡りの芸人、この3者の描く世界が、深く胸に沁みる物語で、フェリーニ監督34歳での作品としては、人間への洞察力の見事さ、余韻を感じさせる物語の抒情性は、主題曲の物悲しい旋律と良く合い、珠玉の作品となっている。

若いころに観たときは、その良さが解らず、退屈な映画と片付けていたが、60歳を超えてくると、この映画の持つ哀愁漂う鑑賞感とザンパノの海辺で泣き崩れるシーンが、胸に迫る。老いと寂しさ、家族と一緒の生活、さまざまなことを考えさせられる名作である。

難しくて煩わしいと思っていたフェデリコ・フィリーニ監督作品だが、初期の2本「青春群像」と「道」の両作品はどちらも静かな感動を覚える秀作である。
ニーノ・ロータの物悲しいテーマ曲が素晴らしい。フェリーニ監督の作品はほとんどがニーノ・ロータで、他に「太陽がいっぱい」「ゴッド・ファーザー」で、知られるイタリアの生んだ大作曲家である。

撮影のオテッロ・マルテッリも、フェリーニ作品では、お馴染みの撮影監督で1962年「ボッカチオ70」まで、撮影監督を努めている。
どこか物寂しい風景描写がこの作品にマッチしている。

“毎日が映画日和” 100点(ジュリエッタ・マシーナのピュアな演技に満点!)



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わが谷は緑なりき「How Green Was My Vally」 [人生ドラマの傑作]

☆我が谷は緑なりき「How Green Was My Vally」
(1941年制作、ジョン・フォード監督、脚本:フィリップ・ダン、音楽:アルフレッド・ニューマン、撮影:アーサー・C・ミラー、原作:リチャード・レフィリン、製作:ダリル・F・ザナック
ドナルド・クリスプ、ロディ・マクドウォール、サラ・オールグッド、モーリン・オハラ、アンナ・リー、ウォルター・ピジョン、ハリー・フィッツジェラルド、リス・ウィリアムズ、)

世界名作映画再発見の1本!!
ジョン・フォードの名作で、19世紀末のイギリスウェールズ地方の炭鉱町で働くモーガン一家を、末っ子ヒューの回想で綴った家族愛の物語である。
モーガン夫婦と男兄弟6人、女性1人の9人家族の思い出をさまざまな出来事を通して描いていく。

全編を通して、賛美歌やウェールズ地方の民謡が、炭鉱夫達のコーラスで歌われ、美しいハーモニーを聞かせてくれる。
敬虔なクリスチャンの父親の元、末っ子のヒュー(ロディ・マクドウォール)を除いては全員炭鉱夫で、賃金カットなどの厳しい時代背景の中、前半はほのぼのとした家族愛が描かれていく。

そして後半は、ストライキを巡る父親(ドナルド・クリスプ)と兄弟達の意見の相違、長女(モーリン・オハラ)と牧師(ウォルター・ピジョン)の結ばれぬ恋、ストライキに賛成しない父親に対する嫌がらせ、街の学校へ通うヒューへの先生の偏見などもエピソードとして描かれ、母親が炭鉱夫達を前に、“夫を傷付けたら私が許さないと”演説する場面、炭鉱夫仲間のバリーとダイが、先生を懲らしめる場面など、胸のすくような場面も楽しく描かれる。

兄弟達の2人は、アメリカへ渉り、長男は落盤で亡くなり、そして炭鉱の経営者の息子と結婚したアンハードは、牧師への想いが忘れ難く、一人炭鉱の町へ戻ってくる。そして、最後は父親が落盤事故で、ヒューの腕の中で旅立っていく。

人生の直面するさまざまな困難を、神への誠実さと自分たちの信念をモットーに、生き抜いた父親ギルム・モーガンを中心に、モーガン一家を描いたちょっとほろ苦い人生ドラマである。
脚本の良さ、構成力、演出力何れをとっても、非の打ちどころのない作品。
アカデミー賞では、作品賞、監督賞、助演男優賞(ドナルド・クリスプ)、撮影賞、美術賞、室内装置賞の6部門を受賞している。

子役ヒューを演じたロディ・マクドウォールは、「猿の惑星」シリーズでのコーネリアス博士役やシーザー役でも知られ、多くの映画やテレビで活躍した。モーリン・オハラは、ジョン・フォードやジョン・ウェイン映画の常連女優で、牧師役ウォルター・ピジョンは、130本以上の映画に出演、アカデミー賞受賞こそないものの2度のノミネートを誇る演技派である。

名脇役で知られたドナルド・クリスプは、多くを語らぬ男らしい父親像を演じ、抜群の存在感を示し見事アカデミー賞助演男優賞を受賞している、妻役のサラ・オールグリッドは、献身的な母親の役で、家族のために何を成すべきか良くわかっている母親の理想像を演じている。惜しくも受賞は成らなかったが、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。

ジョン・フォードは、アメリカを代表する監督で、特に西部劇でその評価は高い。“西部劇の神様“とまで呼ばれた監督だが、アカデミー賞監督賞4度受賞の作品には、西部劇は1本もない。その中の1本が、この作品である。
(他には「静かなる男:The Quiet Man」「怒りの葡萄:The Grapes of Wrath」「男の敵:The Informer」)

“毎日が映画日和” 100点(炭鉱町の雰囲気も素晴らしい、満点!!)


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日の名残り「The Remains of the Day」 [人生ドラマの傑作]

☆日の名残り「The Remains of the Day」
(1993年制作 ジェームズ・アイボリー監督、脚本:ルース・フラワー・ジャブバーラ、ハロルド・ピンター、音楽:リチャード・ロビンス、撮影:トニー・ピアース=ロバーツ、原作:カズオ・イシグロ
アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、クリストファー・リーブ、ジェームズ・フォックス、ヒュー・グラント、ピーター・ヴォ―ガン、マイケル・ロンズデール)
   
イギリスの貴族ダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)に仕える執事スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)の物語。

1930年代の第2次世界大戦前、第1次世界大戦で敗れたドイツと友好関係を深め融和主義を唱える主人ダーリントン卿が、政治的にドイツに利用されていく過程がダーリントンホールを取り仕切る執事スティーブンスの回想形式で綴られていく。

人手不足に悩み、父親まで駆り出すが、老齢のためお客様に失礼があってはならぬと接客係から掃除係に職変えする非情さや、思いを寄せる女中頭のケントン女史の思いを寄せ付けない職務への忠実さも見せる。 
彼の生き様を通して、第2次世界大戦前の不穏なヨーロッパの政治状況の一端と貴族の館に仕える使用人たちの世界を垣間見せる重厚なドラマ。

原作は、日系イギリス人作家 石黒一雄(イシグロカズオ)の長編小説「日の名残り」で、監督は「眺めのいい部屋」「モーリス」「ハワーズ・エンド」などで一流監督の仲間入りし、最近では「上海の伯爵夫人」「最終目的地」を発表しているジェームズ・アイボリーである。

時代を感じさせる美術や衣装、邸宅内の装飾などが素晴らしい。キツネ狩りの場面など、如何にもイギリス貴族の優雅さと贅沢さを感じさせる場面となっている。アカデミー賞8部門でノミネートされた(「シンドラーのリスト」「ピアノレッスン」に阻まれた)上品な質の高さと伝統を感じさせる名作である。

先日同じく貴族の館で働く使用人たちを描いたサスペンス「ゴスフォード・パーク」を見たばかりで、視点は違うものの執事は人事、労務、日常の業務含めて邸宅の管理一切を仕切る、人並み以上の能力が要求される大変な職業だということが良く分る。常識や幅広い教養が必用とされ、またあくまでも控えめに振る舞い、出しゃばらず、この映画では、すぐ近くにいながらも、父親(ピーター・ヴォ―ガンが熱演)の死に目にも会えない過酷さも描かれている。

アンソニー・ホプキンスは、ハンニバル・レクター役でアカデミー賞を受賞したが、舞台で鍛えられた卓越した演技力はこの映画でも発揮され、本当にこのような執事がいそうだと思わせてくれる。最近は、大作映画に顔見世出演している。
エマ・トンプソンは、イギリスの産んだ名女優の一人で、数々の作品で賞に輝く実力派である。先日見た「いつか晴れた日に」でも感じたのだが、役に入り込み成りきっている。20年後再開し、魅かれ会いながらも別れていくシーンが切なかった。

ジェームズ・フォックスが、ダーリントン卿を威厳と気品ある雰囲気で演じ、映画冒頭と後半で、政治に翻弄された貴族の盛衰を見事に演じている。ヒュー・グラントが新聞記者役で出演し、マイケル・ロンズデールやクリストファー・リーブが脇を固める。必見の映画!!

“毎日が映画日和” 90点

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黒蘭の女「Jazabel」 [人生ドラマの傑作]

☆黒蘭の女「Jezabel」
(1938年制作 ウィリアム・ワイラー監督、脚本:ジョン・ヒューストン、クレメンス・リプレー、アベム・フィンケル、ロバート・パックナー、撮影:アーネスト・ホーラ―、音楽:マックス・スタイナー
ベティ・デイヴィス、ヘンリー・フォンダ、フェイ・ベインダー、マーガレット・リンゼイ、ドナルド・クリスプ)
     
1850年代のニューオーリンズを舞台にしたベティ・デイヴィス演ずる主人公ジュリーの物語。
名作中の名作、「風と共に去りぬ」も南部を舞台にした1800年代の名家の女性を主人公にした映画だが、この映画の主人公には、愛らしさや性格的に共感できる誠実さが無く、多くの人の賛同を得るのは難しかったのではないだろうか。

「ベン・ハー」「ローマの休日」「我らの生涯の最良の年」「大いなる西部」「おしゃれ泥棒」「ファニー・ガール」など1950年代から60年代にかけて、大作を手懸け、その上傑作が目白押しのウィリアム・ワイラー監督作品で、1920年代~40年代も多くの作品を発表しており、この映画は当時の作品の1本。

南部の名家のお嬢さんが、我儘な振る舞いから婚約者に去られ、結婚して戻ってきた元婚約者に、悔い改めた自分を再度認めてもらおうとする物語で、ベティ・デイヴィスが、主人公を演じている。
黄熱病になった元婚約者(ヘンリー・フォンダ)が、隔離される際に、妻の代りに同行するというラストシーンに、彼女の思いが溢れているのだが、途中の彼女の言動に共感できないためか、素直に感情移入ができない。

好みの物語ではなく、その上、妻役のマーガレット・リンゼイが清楚な美しさで共感を呼ぶだけに、ベティ・デイヴィスの妬みや嫉妬、痣とさが目立つこととなった。それこそが正に、ベティ・デイヴィスの演技の上手さで、存在感を際立たせることになったのだろう。

稀に見る5年連続のアカデミー賞ノミネート、合計10回のノミネートなど、悪女から可憐な女性役から幅広い演技の出来る女優として活躍したアメリカを代表する女優である。
彼女と、おば役のフェイ・ベインダーが、共にアカデミー賞の主演女優賞、助演女優賞を受賞している。カラーで見たかった映画である。

“毎日が映画日和” 80点

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