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東京物語(小津安二郎監督) [小津安二郎監督作品]

☆東京物語(小津安二郎監督+原節子)
(1953年制作、小津安二郎監督、脚本:小津安二郎、高田高悟、音楽:斎藤高順、撮影:厚田雄春
笠智衆、東山千栄子、原節子、山村聡、杉村春子、香川京子、中村伸、三宅邦子、大阪志郎、東野英治郎、十朱久雄、長岡輝子、高橋豊子)
   
海外で評価の高い小津安二郎監督の代表作にして、原節子の代表作でもある。
尾道の両親が、東京の子供達を訪ねてくるエピソードと尾道へ戻ってから母親が亡くなってからのエピソーを綴る名作である。

原節子が、銀幕から去って(1963年:43歳に引退)今年で52年を迎えたが、9月6日に95歳で亡くなったとのこと。原節子の訃報のニュースは欧米のメディアで報道されたほどで、海外での評価の高さに驚かされる。(英国ガーディアン、ドイツリベラシオン、アメリカワシントン・ポスト、フランスリベラシオン紙等)

尾道で暮らす両親(平山周吉:笠智衆・とみ:東山千栄子)が、上京し長男平山幸一(山村聡)と妻文子(三宅邦子)の家へ泊ることになるが、忙しく、長女志げ(杉村春子)夫婦の世話にもなる、次男(既に戦争で他界)の嫁紀子(原節子)の家も訪ね、家族の絆や親の思い、子供達の思いなどを美化せずに、真摯に、ストレートに描いていて、切ない映画でもある。

実の子供達より、他人同様の息子の嫁が、一番親切だったと亡くなったとみ、の思いを伝える周吉の言葉は、そのまま周吉の思いでもあった。
一番下の娘京子(香川京子)が、葬儀の後、急ぐように帰る兄弟達の不義理を攻める場面で、最後まで残っていた紀子は、年齢を重ねるごとに自分たちの生活が大切になる物だと話す場面があるが、核家族化する当時の家族の在り方と現状を言い得て妙である。その思いは今でも変わらないし、家族という絆はもっと冷めてきている。(情が薄くなったのだろうか)
尾道の海を見下ろす風景や、熱海の海岸での撮影など、穏やかで白黒だが美しい画面が、この映画の全体の雰囲気を和やかにしている。

小津安二郎監督は、淡々とした表現の中で、家族の絆や親と子のすれ違い、生と死の問題などを描いて、その作品の多くは奥深く、考えさせられる。
ドラマチックに盛り上げるとか、特異なキャラクターを主人公とするわけでもなく、カメラを固定したローアングルでの撮影は、小津スタイルとして海外でも有名で、多くの映画人に影響を与えた。海外では、溝口健二監督、黒澤明監督と共に評価の高い監督である。

平山夫婦を演ずる笠智衆と東山千栄子が、ほのぼのとした田舎の夫婦をゆったりと演じ、何とも微笑ましいし、熱海の海岸で帰ろうというあたりは、もう2度と来ることも無いだろうという思いも伝わる名場面となっている。
この映画の主人公は、紛れもなくこの老夫婦であろう。
山村聡と三宅邦子夫婦の雰囲気も如何にも都会風で、対比が面白いし、杉村春子のずけずけと物を言う遠慮のない長女という役作りが素晴らしい。
しゃきしゃきっとした雰囲気作りは、杉村春子ならでは、である。

原節子には、今の女優には見る事の出来ない、上質の品が感じられる女優で、醸しだす雰囲気、セリフに込められた綺麗な日本語から感じられる豊かな教養と佇まいは、何れの作品も必見である。特に小津作品、黒澤作品、成瀬監督など当時を代表する多くの監督作品に出演した日本を代表する昭和の大スターである。42歳での引退という女優の思いとは何だったのだろうか。

この作品は、後半、葬儀の終わった後の、周吉、紀子、京子の3人の会話には涙が溢れる場面の連続で、この作品の素晴らしさが実感できる。
感動とは、ドラマチックなストーリーにしなくても湧き上がるという作品の見本のような作品である。
”毎日が映画日和” 100点(何度でも観たくなる作品で勿論満点!!)



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彼岸花(小津安二郎監督) [小津安二郎監督作品]

☆彼岸花(1958年公開 小津安二郎監督・脚本 野田高悟脚本 音楽:斎藤高順 撮影:厚田雄春 佐分利信、田中絹代、有馬稲子、久我美子、佐田啓二、桑野みゆき、笠智衆、浪速千栄子、山本富士子、)

小津監督初のカラー映画で、“赤”の小津が最初に見られる作品。
1950年代の小津作品を見る機会はあったが、「彼岸花」は3度目となる。両親に相談もなしに結婚相手を決めた娘が、父親に許してもらえず、母親や京都に住む女友達や母親、仲人を依頼する父親の親友などに協力を仰いで、最後には何とか父親に承諾してもらうという物語。

現代(2014年)では考えられないテーマだが、当時は、館の主の了解を得ることは当然だったし、人の親として、同じ娘を持つ父親として、映画の主人公である父親の心情は理解できる。ただ今この映画を見ると、娘をもっと信頼したらいいのにと娘の味方になってしまう。
      
笠智衆と娘の関係や、京都の宿を経営する母親と娘の関係なども、時代を彷彿とさせるが、今でも相通ずるものがあり互いの心情が良く理解できる。
小津作品は、(1950年代以降)野田高悟氏との共同脚本で、制作開始前に同じ宿舎での共同生活の中で、じっくり構想が練られ作られたということだが、よくまとめられた脚本で、実に丁寧に物語が綴られる。

小津作品の特色だが、淡々と何気ない日常の中で、家族のさまざまな問題を浮き彫りにしていく。出演する俳優も今を時めく(殆ど故人)、功なり名を成した大物俳優ばかりで演技合戦も意応え十分。
中村伸郎、北竜二、佐分利信の旧友3人組のシーンは、どこかで見たことがあると思っていたら「秋日和」で再び出てくる。

桑野みゆきが、キュートで魅力的。山本富士子、有馬稲子も綺麗で、内面からにじみ出る気品と確かな演技力が見事。(今の女優に、最も欠けているのが、この“女優の品”というもの)
田中絹代は、さすがの貫録で、佐分利信を相手取って一歩も引かぬ、それどころか押しまくる迫力の演技。父親のプライドを損なわないようにしながら、娘を思う母親の思いを静かに淡々と演じる。

小津の赤が、この映画では平山家の“赤いやかん”に象徴され、頻繁に画面に出てくる。このあとの作品でも、赤色が頻繁に使われる。なぜ、小津監督は“赤”に拘ったのだろうか。本人の記述があれば、ぜひ読んでみたい。

“毎日が映画日和” 85点

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