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黒蘭の女「Jazabel」 [人生ドラマの傑作]

☆黒蘭の女「Jezabel」
(1938年制作 ウィリアム・ワイラー監督、脚本:ジョン・ヒューストン、クレメンス・リプレー、アベム・フィンケル、ロバート・パックナー、撮影:アーネスト・ホーラ―、音楽:マックス・スタイナー
ベティ・デイヴィス、ヘンリー・フォンダ、フェイ・ベインダー、マーガレット・リンゼイ、ドナルド・クリスプ)
     
1850年代のニューオーリンズを舞台にしたベティ・デイヴィス演ずる主人公ジュリーの物語。
名作中の名作、「風と共に去りぬ」も南部を舞台にした1800年代の名家の女性を主人公にした映画だが、この映画の主人公には、愛らしさや性格的に共感できる誠実さが無く、多くの人の賛同を得るのは難しかったのではないだろうか。

「ベン・ハー」「ローマの休日」「我らの生涯の最良の年」「大いなる西部」「おしゃれ泥棒」「ファニー・ガール」など1950年代から60年代にかけて、大作を手懸け、その上傑作が目白押しのウィリアム・ワイラー監督作品で、1920年代~40年代も多くの作品を発表しており、この映画は当時の作品の1本。

南部の名家のお嬢さんが、我儘な振る舞いから婚約者に去られ、結婚して戻ってきた元婚約者に、悔い改めた自分を再度認めてもらおうとする物語で、ベティ・デイヴィスが、主人公を演じている。
黄熱病になった元婚約者(ヘンリー・フォンダ)が、隔離される際に、妻の代りに同行するというラストシーンに、彼女の思いが溢れているのだが、途中の彼女の言動に共感できないためか、素直に感情移入ができない。

好みの物語ではなく、その上、妻役のマーガレット・リンゼイが清楚な美しさで共感を呼ぶだけに、ベティ・デイヴィスの妬みや嫉妬、痣とさが目立つこととなった。それこそが正に、ベティ・デイヴィスの演技の上手さで、存在感を際立たせることになったのだろう。

稀に見る5年連続のアカデミー賞ノミネート、合計10回のノミネートなど、悪女から可憐な女性役から幅広い演技の出来る女優として活躍したアメリカを代表する女優である。
彼女と、おば役のフェイ・ベインダーが、共にアカデミー賞の主演女優賞、助演女優賞を受賞している。カラーで見たかった映画である。

“毎日が映画日和” 80点

刑事「Un Maledetto Imbroglio」 [名作クラシック]

☆刑事「Un Maledetto Imbroglio」
(1959年制作 ピエトロ・ジェルミ監督・脚本 撮影:レオダニ・バルボーニ、音楽:カルロ・ルスティケリ
ピエトロ・ジェルミ、クラウデァ・カルディナーレ、フランコ・ファブリッツィ、エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ、サーロ・ウルツィ、クラウディオ・ゴーラ、クリスティーナ・ガヨー二)
     
クラウディア・カルディナーレのデビュー作品として有名で、ピエトロ・ジェルミ監督・主演作品。主題歌「アモーレ・ミーヨ~死ぬほど愛して~」が、せつなく響く名作である。冒頭とエンディングで「アモーレ・ミーヨ」流れ印象に残る。

殺人事件の被害者に関係する人達のさまざまな思惑を描き、ピエトロ・ジェルミ扮する警部と部下の事件解決までの奮闘も描いている。
部下の刑事サーロが、ほのぼのとした演技で、場を和ませていてなかなか好演。
常にサンドイッチを頬張りながら、コミカルな味を出している。

ピエトロ・ジェルミ監督は、「鉄道員」「わらの男」でも有名で、今作では苦み走った表情を浮かべ、執念の警部役を演じている。
殺されるエレオノーラ・ロッシ・ドラゴや愛人役クリスティーナ・カヨーニが、美形で、役の雰囲気がよく出ている。

ローマのアパートに強盗が、入られたことから女中の恋人が、1週間後合鍵を作って、隣のアパートに侵入し、心ならずも見つけられた際に殺人を犯してしまう。容疑者を絞り込むが、決定的な証拠や証言がなく確証を掴めないでいるときに、女中の鍵からヒントを得て、犯人の特定ができるというストーリーで脚本が良く出来ていて、スタートからラストまで中だるみが無い。

映画としては面白く、クラウディア・カルディナーレが、警察車両に乗せられた恋人を裸足で追いかける箇所に「アモーレ・ミーヨ」が流れる場面は、物悲しい切ない場面だが、名シーンとして語り継がれることだろう。

C・Cのエキゾチックな表情と、グラマラスな肢体がまぶしい(21歳での出演)
“毎日が映画日和” 85点

黄昏「On Golden Pond」 [珠玉の名作]

☆黄昏「ON GOLDEN POND」
(1981年制作 マーク・ライデル監督、脚本:アーネスト・トンプソン、撮影:ビリー・ウィリアムス、音楽:ディブ・グル―シン
キャサリン・ヘップバーン、ヘンリー・フォンダジェーン・フォンダ ダグ・マッケオン、ダブニー・コールマン、ウィリアム・ラント‐)
      
自愛溢れるキャンデス・バーゲンの眼差しがこの映画の全てを語っている。
単に泣きを誘う映画ではなく、死と向き合う老夫婦の人生を娘や娘の結婚相手の息子との交流を通じて綴る、心優しい映画。

ヘンリー・フォンダが、素晴らしい。この映画が最後の作品となった。
数多くの映画に出演した、アメリカを代表する名優で傑作・名作が目白押しの俳優である。アカデミー賞には縁がないが、最後のこの作品で受賞したのは、何とも皮肉だが、ふさわしい演技である。

キャサリン・ヘプバーンは、主演女優賞をこの映画でも受賞し4度目とのこと。二人は、これまで共演がなかったというのが不思議なくらいである。
娘役のジェーン・フォンダが、実父のヘンリーと共演した唯一の映画でもある。
このときジェーンは、44歳だが見事なシェープアップした身体で、水着姿を披露している。
出演する俳優が、5~6人で主演の2人が出ずっぱりだが会話や仕草など物静かな演技だが、迫力さえ感ずる。

マーク・ライデル監督作品「ローズ」も力作だったが、今作では肩の力を抜いた演出でベテラン二人の個性をうまく引き出している。
くっきりと鮮やかな画面は、きれいで、自然豊かな湖畔の風景を映し出している。原題は「ゴールデン・ポンドGOLDEN POND」、映画を見るとその意味が良く分り、湖面で遊ぶ水鳥に老夫婦が重なりあって印象深いラストとなっている。

“毎日が映画日和” 85点

らせん階段「The Spiral Staircase」 [クラシックミステリーの佳作]

☆らせん階段「The Spiral Staircase」
(1949年公開 ロバート・シオドマク監督 脚本:メル・ディネリ、撮影:ニコラス・ムスラカ、音楽:ロイ・ウェッブ 原作:エセル・リナ・ホワイト   
ドロシー・マクガイア、ジョージ・ブレント、エルザ・マンチェスター、ロンダ・フレミング、エセル・バリモア、ゴードン・オリヴァ―)
         
ヒッチコックの傑作「バルカン超特急」の原作者:エセル・リナ・ホワイト作品の映画化。
障害者ばかりを狙う殺人犯が、言葉を失った住込み女中の命を狙う。寝たきりの老婦人、息子が2人、兄の仕事上の秘書役で弟の恋人の女、お手伝いの夫婦、病院の先生や派遣看護師などが、意味ありげに画面を彩っていく。

ミステリースリラーとでも呼んだ方がいいのかもしれないが、ヒッチコックミステリーのように、怖がらせるという演出はあまりなく正攻法でストーリーは進んでいく。

秘書が殺され、弟が犯人と思い、地下へ閉じ込めるが、以外にも兄が犯人で、窮地にたたされる。絶対絶命という矢先に、寝たきりだった老婦人が、拳銃で犯人を射殺、救われた主人公が、恋人で医師へ電話をすると声が出る というめでたしめでたしのラストとなる。

障害者が、殺人犯に狙われるという作品は、過去にも何度か映画化されていると思うが、(例えば、オードリー「暗くなるまで待って」)この作品では、声がでないというのが、スリルを盛り上げるはずなのだが、、、、、、、。

まじめで、誠実で、善人役を演ずることが多かったドロシー・マクガイアが、主人公を演じている。
ロバート・シオドマク監督は、バート・ランカスターとのコンビで知っているが、多くの作品を残しているので是非見てみたい監督である。

“毎日が映画日和” 65点

アウトロー・ブルース「Outlaw Blues」 [爽やかな作品!]

☆アウトロー・ブルース「Outlaw Blues」
(1977年公開 リチャード・T・へフロン監督、脚本:B・W・L・ノートン、撮影:ジュールス・ブレンナー、音楽:チャールズ・バーンスタイン  ピーター・フォンダ、スーザン・セント・ジェームズ、ジョン・クローフォード、ジェームズ・キャラハン、マット・クラーク)
     
刑務所で作った曲を慰問に来た歌手に盗作され、すったもんだの挙句ハッピー・エンドとなる痛快な娯楽作。
脚本が良く、主演のピーター・フォンダ、スーザン・セント・ジェームズが爽やかなカップルを演じていてこれまた感じが良い。

カントリ―ウェスタンの歌手役のジェームズ・キャラハン、警察署長役のジョン・クローフォードが、コミカルな演技で奮闘、マット・クラークも顔を出している。警察の捜査を掻い潜り、市民の応援を得て逃げ切ってしまうのが、スカッとした結末となって後味が良い。

カーチェイスもそこそこで、特にボートで逃げるアクションは新味で楽しめた。難しい映画ではなく自然体で純粋に楽しむ映画で、ピーター・フォンダらしい選択である。フォンダ制作・主演の「イージー・ライダ―」は、映画史に残る傑作で、監督・主演の「さすらいのカウボーイ」も詩情あふれる忘れ難い名作である。その他は、ほとんどB級活劇アクションに出演し楽しませてくれた名優である。未だ現役で、娘はブリジット・フォンダで女優、父は、ヘンリー・フォンダ、姉はジェーン・フォンダである。

全編に流れるカントリー・ウェスタンも心地いい。「アウトロー・ブルース」は、なかなか名曲で、フォンダ自身の歌唱で歌声も素晴らしい。
彼のB級出演映画を、全部見てみよう。

“毎日が映画日和” 80点


ブギーナイツ「B00gie Nights」 [ポルノ業界を描いた力作!]

☆ブギーナイツ「Boogie Nights」
(1997年制作 ポール・トーマス・アンダーソン監督・脚本 撮影:ロバート・エルスウィット 音楽:マイケル・ベン、カリン・ラットマン  マーク・ウォルバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア
ウィリアム・H・メーシー、ヘザー・グレアム、ドン・チードル、フィリップ・シーモア・ホフマン、ルイス・ガスマン、フィリップ・ベーカー・ホール、ジョン・C・ライリー)
       
ポルノ映画産業の舞台裏を描く群像劇。ポルノ映画監督に、バート・レイノルズ、新人男優に、マーク・ウォルバーグ、ポルノ女優にジュリアン・ムーア、ヘザー・グラハム、若かりし頃のドン・チードル、フィリップ・シーモア・ホフマン、ルイス・ガスマン等が出演している。

監督ポール・トーマス・アンダーソンは、世界三大映画祭(ベルリン、ベネツィア、カンヌ)で監督賞を受賞している俊才で、まだ44歳と若く、これからが最も嘱望される一人である。
この映画は、27歳(1997年)で制作しており、脚本、製作にも名を連ねている。その後、「マグノリア」「パンチドランク・ラブ」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ザ・マスター」と次々と話題作、衝撃作を発表している。

映画の舞台は、1970年代後半から80年代にかけてのアメリカで、監督に見込まれてポルノ映画に出演し、スターに駆け上がり、賞も総なめにするが、得意の絶頂期で、過信によるトラブルからお定まりの転落人生を歩むことになる。

ポルノ映画というジャンルだが、芸術性にこだわる監督や、いつどこでも勃起することを自慢する主人公、子供の親権問題で悩む看板女優、学歴の無いことを気に病んでいる若手女優など多彩な人間が絡む合うドラマで、見応えある作品となっている。

マーク・ウォルバーグにこうゆう作品があったとは、驚きで勢力絶倫の17歳の新人男優に扮している。この時26歳で、映画デビューして3年目ごろの作品である。今や油の乗り切った40代前半、アクションからシリアスなドラマまで器用にこなす注目の男優で、最近は「テッド」での熊の相手役や大物男優との共演など大奮闘している。

ジュリアン・ムーアはポルノ女優を演じ、この作品でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ注目を集め、バート・レイノルズはこの映画で、ゴールデングローブ助演男優賞を受賞している。
うれしいのは、ドン・チードル、シーモア・ホフマン、そして好みのルイス・ガスマンの若いころを発見できたことで、みんな苦労して今の地位を掴んでいるということが、良く分る。そういう意味では、昔も今もあまり変わっていない映画の世界がある。

“毎日が映画日和” 70点 

復讐は俺に任せろ「The Big Heat」 [ハードボイルドの傑作!!]

☆復讐は俺に任せろ「The Big Heat」
(1953年公開 フリッツ・ラング監督 脚本:シドニー・ポーム、撮影:チャールス・ラング 音楽:ミッシャ・バカライ二コフ
原作:ウィリアム・マッキバーン
グレン・フォード、リー・マービン、グロリア・グレアム、ジョスリン・ブランド、キャロリン・ジョーンズ、ジャネット・ノーラン)
        
自殺事件の報道に、疑問を呈する愛人の訴えで、不審を感じた矢先に愛人が殺される。
事件の背景を負ううち、黒幕ギャングのラガナと警察の上司との癒着があることに気付いた矢先に、妻が身代わりに殺され、引き留める同僚、上司の静止を振り切って、一人事件を追いかける元警官の物語。

協力する敵の愛人や亡き妻の義兄、ヒントをくれる老婦人の事務員など、さまざまな人に助けられ、復讐を果たし、警察に復帰する。ストーリーは、今でこそ、どこかで見たことのある様でありふれているが、1953年公開当時は斬新な内容だったのではないだろうか。

大物監督の映画に出演が多い、グロリア・グレアムが重要な役柄、場を浚う好演で印象に残る。顔に熱したコーヒーをかけられたり、鍵を握る未亡人を殺害したり、最後は撃たれて死んでしまったりと大活躍を見せる。

リー・マービンがあくの強いギャング役を演じていて、いつにもまして過激な演技を見せる。テーマがはっきりしていて、余計な付箋や入り組んだ複雑な人間関係がないので、非常にわかり易いのだが、ギャングの愛人だったグレアムが、主人公に突如興味を抱く当たりの描写が、描ききれなかったように感じる。

フリッツ・ラング監督のハード・ボイルドタッチの作品で、グレン・フォードも好演。

“映画はみんな面白い” 75点

マルセイユの決着「Le Deuxieme Souffle」 [フレンチノワールも奮闘中!]

☆マルセイユの決着「Le Deuxieme Souffle」
2008年公開 アラン:コルノー監督・脚本 撮影;イヴィ・アンジェロ 音楽:ブリュノ・クーレ 原作:ジョゼ・ジョバンニ
ダニエル・オートゥイユ、モニカ・ベルッチ、ミシェル・ブラン、ジャック・デュトロン、ダニエル・デュバル、エリック・カントナ)
      
1968年ジャン・ピエール・メルビル監督の「ギャング」のリメイク作品。
原作・脚本は、本物のギャングで、後に作家・脚本家・監督として活躍したジョゼ・ジョバンニである。

リメイク版は156分の長編で、途中、若干無駄な描写と思われる箇所があるもの力作である。
男の生き様を鮮烈に描いて、アラン・コルノー監督の傑作となった。
メルビル監督作品も傑作と言われているが、未見のため比較ができない。主演がリノ・バンチュラということで、コルノー監督作品よりも、男臭さが全面に出ている映画となっていることだろう。 

ギャングが、脱獄し出国を前に、金のため強盗をすることからギャング同士の駆け引きと警察絡みの暗躍、裏切りで結局は、みんな死んでしまうという映画で、ハードボイルドなギャング役を、もう一つ貫録不足だが、ダニエル・オートィユが熱演している。

難を言えば、もう少しタフネスさが出ていると良かった。助演の警部役ミシェル・ブラン、手助けするオルロフ役のジャック・デュトロン等の好演が映画全体を引き締めている。
モニカ・ベルッチの出番が必用だったのかどうか、原作でも出てくるのかどうかわからないが、この映画に関する限り、必用なかったように思える。

もう少し短くなれば、緊張感のあるギャング映画となったと思うのだが。
モニカ・ベルッチは、好きな女優で「マレ―ナ」が素晴らしかったが、最近はさすがに、容貌も衰え、太り過ぎでつまらない映画に出ている感じがするが、逆に豊満な方がヨーロッパでは好まれるのだろうか。

ギャングの世界に生きる男として、策略により、仲間への裏切り行為の濡れ衣をきせられるのは、プライドが許せないという正に「男の世界」を描いている。
出国して、好きな女と平和な生活ができるのを、敢えて濡れ衣を晴らす為、死を覚悟し対決の場面へと向かう。東映のヤクザ映画を見る様な感じでもあるが、そこはフレンチ・フィルム・ノワール(旗頭ジョゼ・ジョバンニの原作)の系譜を踏襲する映画となっている。車の中でチンピラを殺す場面や襲撃シーン、最後の銃撃シーンの迫力が凄い。

40億円という巨額な製作資金を投じた映画とのことで、画面全体に60年代が再現され、セット、美術等に、金がかかっている雰囲気は十分感じられる。
アラン・コルノー監督は、イヴ・モンタン主演の「真夜中の刑事」を見ているが、「フォート・サガン」などの名作を監督しているとのことで、監督作品を探してみよう。

“映画はみんな面白い” 70点



夜までドライブ「They Drive by Night」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆夜までドライブ「They Drive by Night」
(1940年制作 ラオール・ウォルシュ監督、脚本:ジェリー・ウォルド、撮影:アーサー・エディソン、音楽:アドルフ・ドイチェ  ジョージ・ラフト、ハンフリー・ボガード、アン・シェリダン、アイダ・ルピノ)
       
主演4人の名前だけみると、ギャング映画の様だが、さにあらずトラック運転手の成功物語の映画で、サスペンスも堪能できるし、ファム・ファタールを演じるアイダ・ルピノもいる。
兄弟で、トラックドライバーをしながら、将来を夢見る2人にジョージ・ラフトとハンフリー・ボガードが扮している。

この映画製作時点では、まだラフトの方が格上だったのだろうが、ボガードは2番手に甘んじている。(苦み走ったタフガイイメージの前)ボガードは、奥さん思いの良き夫で、兄貴思いの弟の役を演じていて好感が持てる。
最後のウインクの場面など、なんとまあという笑顔。

監督は、ラオール・ウォルシュで、サスペンス的要素を盛り込み、見ていて面白い映画で、脚本も良く出来ている。夜通しで走るトラックドライバーの過酷さを十分見せて、起こるぞ起こるぞと前ふりを十分した上で、ボガードが事故で右腕を失う、そこからが本番で事務職として友人に雇われた兄貴のラフトが、横恋慕する友人の奥さんに、可愛さ余って憎さ百倍とばかりに、殺人者に仕立てあげられるが、狂乱する奥さんの心神喪失によって、無実となる。

ドライバー同士の思いやりや仲間意識などを上手く取り入れながら、なるほどベテラン職人監督ならではという出来栄えで、今見ても十分面白い。

最近の映画は、このようなシンプルな映画が少なってきたように思う。
派手なCGや絶叫ばかりする映画と違い、映画本来の出演陣の演技や脚本の出来栄えや演出効果などが味わえる。1930年~50年頃の映画に秀作、名作が多いのは、何故だろうか。

“映画はみんな面白い” 70点

必殺仕掛人-春雪仕掛人- [面白時代劇を見逃すな!]

☆必殺仕掛人――春雪仕掛人――
(1974年制作、貞永方久監督、脚本:安倍徹郎、音楽:鏑木創、撮影:丸山恵司、原作:池波正太郎
緒方拳、林与一、山村聡、岩下志麻、夏八木勲、竜崎勝、地井武男、花澤徳衛、佐々木高丸、村井国男、高橋長英、ひろみどり)
   
必殺仕掛人劇場用映画第3作(劇場用最終作)。
今回仕掛ける相手は、岩下志麻扮する猿塚のお千代、勝四郎(夏八木勲)、定六(地井武男)の3人で、仕事の起こりは、蓑火の喜之助(佐々木高丸)、そして花澤徳衛演ずる瀬音の小兵衛で、猿塚のお千代、蓑火の喜之助は、池波正太郎原作「鬼平犯科帳」の登場人物からの借用で、池波正太郎原作の「藤枝梅安―春雪仕掛人―」とは、内容が大きくことなっている。

3人は、子供から女まで全員皆殺しの凶悪犯で、盗賊の掟に反するとのことで、同じ盗賊から殺しを依頼される羽目となる。仕掛けるのは、藤枝梅安(緒方拳)、小杉十五郎(林与一)で、元締めは音羽屋半右衛門(山村聡)で、残念ながら彦次郎は登場しない。

この作品には、女性の裸や濡れ場が頻繁に登場するが、時代の要請でもあったのだろう、男性を意識した作品作りとなっている。

池波正太郎の小説とは別物と思えば、それはそれで楽しめるが、やはり釈然としない。さまざまな事情があるのだろうが、もう少し原作に近い作品であってほしかった。

地井武男扮する定六は、風呂場で殺され早めに画面から消えてゆく。夏八木勲扮する勝四郎が、お千代の情夫で子分を演じていてなかなか渋いところを見せる。竜崎勝も好演で、小杉十五郎と立ち会う剣客役が似合っている。

今回は、お千代から離れて押し込みに入る勝四郎を迎え撃つ蔵の中で、音羽屋半右衛門が、立ち回りも見せるという作品で、小説ではありえない場面もある。
お千代は、梅安が昔捨てた女という設定で、そのことで梅安が窮地に陥る場面もあるが、必要だったかと言えば、必要なかったように思える。

原作に忠実な、本格的な暗殺者が活躍するシリアスな時代劇として、製作してほしいのだが、どこかに、誰かスポンサーはいませんか?
時代劇は、世界に誇る日本文化の宝庫で、世界のマーケットで売れないはずは無いと思うのだが、、、。

音羽屋半右衛門は真田裕之、藤枝梅安は反町隆史、小杉十五郎を大沢たかお、彦次郎役は
岡田准一、おもんは、壇蜜か吉田洋,井上和香あたりで、どうだろうか。
スぺクタルシーンも準備し、緊迫感の中にもスピード感のあるサスペンス時代劇が、出来ると思うのだが、、。悪役には、ビートたけし、中尾彬、小日向文世は外せないところ、監督は、クインティン・タランティーノか三池崇史あたりが面白いと思うが、、、、。妄想ですが、、、、。


“映画はみんな面白い” 70点


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